釣りキチ三平ルアー


ルアー釣りバブルが落ち着き始めた頃、食玩ブームと同時に釣りキチ三平が秘かなブームとなっていた。
それに便乗するかのように、釣りキチ三平ルアーというのが、
ばかうけというお菓子とセットになって、食玩という形で世にリリースされた!
釣りキチ三平といえば、40歳を超えたおっさんたちにとっては、憧れの釣り師だと言っても過言じゃないだろう。
アイディア満載の釣りスタイル、ドラマテイックな展開、漫画の話とはいえ、
現実に起こっても何ら不思議じゃない夢あふれる内容に、心踊らされたもんだった。
そんな三平のストーリーに登場する魚がルアーになったのが、釣りキチ三平ルアー。
2004年に第一弾 全30種+シークレット2種=32種
翌年には、第二弾 全18種+シークレットばかうけ=19種が発売。
確か、正貨は300円(税別)だったけど、即ダイソーに流出したりしてたんで、なんだかなぁ・・・。
作ったのは、フィギュア界じゃ有名なマックスファクトリー。
ガレージキットなんかを作ってる会社なんで、そっち方面に詳しい人には、
認知度が高いのだけど、ルアー界じゃ無名と言っても過言じゃないでしょう。
そんな会社がルアーを作ると、どうなるのか?
それが、当時ダイソーにも流出しちゃう理由でもあったと思う。
つまりは、おもちゃ。
大半のモデルは、ゴミと言ってもいいレベルで、何らかの手を加えない限り、ルアーとして成立しないモノばかり。
とにかく浮力強過ぎて、泳がないモノ多数。
そして、8リングが無茶苦茶弱い。
素材の樹脂も、市販されてるメーカールアーの樹脂とは、何かが違う様に思える・・・。
なんか弱そうだし、ワームで溶けそう。
全てのルアーに、フックは付いてない。
それが、300円で売れる理由の一つでもあると思う。
スプリットリングとフックを搭載するとなると、相当な手間だからね。
パーツ代も、バカにならんし。
そこを省けたからこそ、300円の食玩として提供できたのでしょう。
さらに食玩としての提供とせざる負えなかった理由は・・・、
ルアーとしてのクオリティが、あまりにも酷かったことを自覚しての事じゃないかな?
本音としては、バブル期に溢れ返ったキャラルアーの様に展開したかった・・・。
だが、出来上がったルアーのクオリティが、とてもじゃないが、まともに売れるモノじゃ無い。
だったら、食玩として売れば、一応ルアーとして使えますけど、クオリティは食玩なんで勘弁してちょ・・・みたいな。
そんな気がするほど、とにかくルアーはクソ。
そんな哀愁漂うルアー達を、1個1個解説してくとしまひょ。

第一弾 アユ(ミノー)

漫画では、おっさん3人を手玉に取る「時合の読み」と「テクニック」に感心したもんだった。
ルアーの出来が良ければ、友釣りに使う方向もアリだが・・・、使ってみたら高浮力で潜らないんで無理だな。
ミノーとしても、高浮力が邪魔して、使い勝手が悪い。
左右に動くのだけど、早く動かし過ぎると、水を掴むのがイマイチだったりする。
スロー気味に水面で使うのが、唯一の道かな?

↓単品UP

出来栄えは・・・、なんとも言い難い。
鮎に見えるか?と問われると・・・、ついつい言葉を濁してしまいそうになる。
顔だけ見ると、アジア圏の何らかの魚に似ている気もする。
アオウオ・・・かな?

第一弾 コイ(ポッパー)

原作の鯉釣りでは、あの魚信さんが登場して、巨大な鯉を目隠しして釣り上げる姿に、憧れたもんだった。
魚信さんがねぇ・・・、この後にも漫画に多大な影響をもたらすし、オレが掲げてる目標でもある「祈願 日本一周えぐり行脚」ってのは、
魚信さんが着てたチョッキの背中に描かれた「祈願 日本一周釣り行脚」ってのを、パクったのさ。
それほどまでに、魚信さんにゃシビれたねぇ・・・。
プラモも、買っちゃったもんなぁ。
ちなみに、青島製なんで、スケール感がおかしなモデルなんだけど、なかなかイイモノなのだよ。
さてさて、このコイルアーなのですが、ポッパーにしては、ずいぶんとおちょぼ口。
当然、水を掴むはずもなく、ポップ音やスプラッシュは、不可能に近い。
どう改造したらイイかも、見出せないルアー。
問題児・・・以前の、問題外!

第一弾 イトウ(ダーター)

原作のイトウ釣りでは、谷地坊主とのコンビネーションプライが、羨ましい位最高だったね・・・。
だが、ルアーとしてのイトウは、他のルアー同様に粗悪品。
形こそダーターなのかもしれんが、浮力とバランスの問題で、まともに動かない。
早く巻けば、それなりに水を掴むので、早巻き限定での使用は可能だけど、ルアーが軽くて飛距離が出ないから、
早巻きだとそっこーで岸にルアーが辿り着いてしまう。
有効範囲が狭いのに、早巻き限定は、使い道がない・・・。
どうすりゃエエの?

第一弾 アリゲーターガー(ミノークランク)

コイツも、見た目の粗悪さを裏切らない。
そもそもミノークランクという表記が、意味不明。
クランクなら潜って欲しいし、ミノーならダートしてくれぃ!と思うのに、超絶なローリングアクションをする。
なので、使うと糸ヨレ1000%!
ローリングスイベルを、フロントアイに搭載すべきだね。
他のルアー同様に、とにかく浮力があり過ぎる。
一切潜らないし、ほぼ1回転するようなローリングで、果たして魚は釣れるのかね?

第一弾 マーリン(ディープクランク)

原作じゃ、クライマックス級なストーリーだったマーリンは、海外での釣りのスケールのデカさにビックリしたもんだった。
だが・・・、このルアーはクズ。
全ラインナップが、とにかく高浮力なのに、ディープクランクは、無理でしょう・・・。
そもそも、外観だけ重視で、機能面を無視したルアーばかりなのに、ディープクランクは、ハードルが高いよ。
他のクランクでさえ潜らないんだから、ディープなんて・・・ねえ。

第一弾 ヘラブナ(バイブ)

他のモノよりも、相当マシな気がする。
アイの部分に凹みがあって、それが水を掴んでくれる。
高浮力は相変わらずだが、それが結果、水面直下を攻めれるフローティングバイブとしての優れた動きを醸し出す。
オレ的に、一番釣れる可能性を秘めてると言えるのが、コレ。

第一弾 左膳イワナ(ミノー)

原作では、一平じいちゃんが作る和竿の素晴らしさを知り、ついついオレも和竿を買ってしまった・・・なんて事があった。
ルアーも、↓ちゃんと左膳なのが、グーだよ。

このルアーは、泳がしてみてビックリ!
意外とアクションがエエ。
高浮力は相変わらずなんだけど、それを補うほど、左右によく泳ぐ。
スローでも、ハイスピードでも泳いでくれるので、高浮力を活かして、トップウォーターで使うのが大正解。
もしかしたら、一番の名作なのかもしれん・・・。

第一弾 ソウギョ(ペンシル)

コレは、ペンシルベイトなんで、高浮力が功を奏すかと思いきや、軽いから飛ばない・・・。
アクションは、全然悪くないけど、飛距離が稼げないのは使い勝手が悪いやね。

第一弾 アカメ(クランク)

日本の固有種でありながら、その存在はレア中のレアといえるアカメ。
原作を読んだ当時、そんな魚が日本に居る事すら知らなかったから、その衝撃は計り知れないモノだった・・・。
シリーズの中で、最もファットなボディ。
シリーズの全作品が高浮力に悩まされるのだから、最もファットなコイツは、果てしなく高浮力!
とにかく、一切潜らない。
そんなクランクベイト、初めて見た!
だが、意外とアクションはエエ。
左右にブルブルと、ワイドに動いてくれる。
クランクベイトと考えず、動かしやすいトップウォータープラグと考えれば、そんなに悪いルアーじゃないね。

第一弾 シークレット アカメ+三平

アカメクランクに、↓まさかの三平が搭載されたルアー。

漫画の光景で、三平がアカメに引きずられる様子を再現してる・・・のかな?
とにかく、三平のクオリティは、凄まじい・・・。
↓顔なんて、テキトーにも程がある。

まあ、そういったことまでもが、楽しいのだけどね。
先に書いてる通り、このルアーは、意外とアクションが良い。
特に、三平を搭載してるこのシークレットタイプは、三平が邪魔をせず、尻尾の様にブルブル動いてくれる。
それが、妙に釣れる気配ムンムンで、実に素晴らしいもんだね。

第一弾 ねずみ(スプーン)

シリーズ唯一の金属モデル。
なので、高浮力の問題は、一切無い!
ちゃんとヒラヒラ泳ぐ!釣れる雰囲気ムンムンです!

なので、100円SHOPで見っけた時には、大量に買い漁った。
使う用のモノは、ローリングスイベルを搭載し、フェザー付きフックまで搭載した。
いつの日か、コレで魚を釣る日がくることでしょう・・・。

第一弾 シークレット ねずみスプーン改。

コレは、漫画の中で三平がイトウを釣るために改造して生み出したねずみスプーンを再現してる。
三平自らが改造して生み出した「シークレットねずみスプーン」は、釣りキチ三平の愛読者にとっては、夢のルアーだったといえるであろう。
それが、まさか、こんな形で出会えるとはね・・・。
↓稲妻型の凹凸が、それを再現してるだけなんだが、漫画を読んだ者にとっては、それだけでも十分に嬉し過ぎる要素。

コレは、イイものだ・・・。

お次は、第二弾。 前回10種各3色だったのに、今回は6種各3色と少な目・・・。
シークレットも、前回は2種あったのに、今回は1種。
でも、そのシークレットが、凄まじかった。
まあ、それは、後のお楽しみにするとして、ラインナップの6種を説明していくとしまひょ。

↓第二弾 羽衣鮒(クランク)

尻尾のジョイント効果は・・・、あんのかな?
ルアー自体には、クランクと表記があるけど、実際には相変わらずの高浮力でミノー的に使うことになる。
尻尾は、おそらく釣果増を目指しての機構じゃない。
ちょっとでもリアルを望む傾向にある日本市場を意識しての、尻尾なのかな?

第二弾 竜魚(ミノー)

形状ありきの無理矢理感が、ハンパ無いね。
角は、ラインに絡まるから、邪魔でしかない・・・。
第二弾のルアーには、尻尾付きが多いのだけど、まったくもって効果は無い。
ルアーとしてなら、改善するとこは、そこじゃない!
リアルを追求したとしても、凝るトコは尻尾じゃないよなぁ・・・。
もちろん、このルアーも、アクションは死んでいる・・・。

第二弾 雷魚(クランク)

コレも、謎の尻尾付き。
さっきの竜魚と、ほぼ同じだが、邪魔な角が無い分、ライントラブルは無い。
だからといって、釣れるワケでもないし、尻尾が効果的なことも無く、高浮力に悩まされる・・・。

第二弾 ビワコオオナマズ(クランク)

一見尻尾パターンじゃなくて、腹部での正規なジョイント構造。
だが、尻尾部はフックを搭載できるアイも無いから、単なる尻尾と変わらん。
デカい分、とっても邪魔な尻尾でしかないね・・・。
そして、相変わらず高浮力が邪魔をするんで、泳ぎは悪い。
そもそも、バランスなんて考えて無いでしょ、この形状じゃあ・・・。

第二弾 わかさぎ(ミノー)

左の2個は、紫と赤金、右のは鮎みたいなカラー。
2個入ってるのは、オレが無理矢理突っ込んだだけで、元々2個入ってたわけじゃないからあしからず。
↓ワカサギというよりは、モツゴに似てるね。


第二弾 ムツゴロウ(ノイジー)

ムツゴロウは、今回一番の大当たりといえる。
たまたまなのか、高浮力を活かした構造で、アイの位置が偶然良かったのか、想像とは違うアクションなのに、イイ感じで泳ぐ・・・。
実に、面白い・・・。
羽根も、不思議なゴムみたいなモノなんで、折れたり変形したりする心配がない。
ガンガンに、ぶつけまくっても大丈夫。
この羽根は、どういった意図で生み出されたのかね?
実に、興味深い。

第二弾 シークレットばかうけ(スイッシャー)

なんと、食玩の食の部分として付属してる「ばかうけ」そのものが、ルアーとなってしまった!
しかも、まんまでいいのに、なぜかプロペラを搭載してスイッシャーにしたのは、無駄な悪足掻きだよね。
↓こんな扁平ボディでスイッシャーなのは、すんごく珍しいけど、釣れはせん・・・。

ばかうけって、ハッピーターンにクリソツだね・・・。

残念なことに、これらのルアーを作った会社は、ルアーの性能面に関して、知識が乏しかったみたい。
形状ありきで、とりあえず作った感が、使えば使う程、否めない・・・。
なので、魚を釣り上げるためのルアーとして使いたいのであれば、改造しなきゃならないモノばかりだと言える。
とにかく、高浮力には悩まされるので、貼る板重りは必須。
板重りや、時には穴を開けて、中に重りをぶち込むくらいの改造をしてもOKだと思う。
それでも調整できなければ、アイの位置も、モノによっては変えちゃった方がイイ。
8リングが、とにかく弱すぎるので、プラモ用のパテや、ゼリー状のアロン等で、補強した方が良い。
いっその事、ヒートンに改造するのもアリかな?
8リングは、半田ごてで温めて、巧くやると抜けるのだが、ヘタに抜くと、樹脂がおかしなことにもなる。
そうなった場合には、プラモ用のパテで整えればいいのだが・・・、そこまで細かい改造ネタは、イランか?
ミノー系のルアーは、特に泳ぎが悪いので、水の掴みを良くするような改造もイイと思う。
リップに凹みをつけるのも、もしかしたら効果的かもしれないね。
まあ、改造ベースとして、色々と楽しめる要素がある事だけは、間違いない。
特に三平好きなら、漫画を元に、色んな改造ネタが湧いてくるんじゃないかな?
オレも、今後は色々とイジくってみたいと思うんで、そういったバージョンもいずれはUPすると思うんで、
そこんとこ夜露死苦!


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